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人に好かれる言葉選び

2025年08月

「ハラスメントにならないために:こんな時どう言う?」6

■シリーズ・「ハラスメントにならないためにーーこんな時どう言う?」
今やすっかりお馴染みとなった「ハラスメント」。職場では、「ちょっと叱ったらパワハラと言われた」とか「髪型や服装を褒めただけでセクハラと言われた」と嘆く管理職の方も少なくありません。また逆に部下が上司に対してハラスメントする「逆ハラ」も存在します。そこで、どういう言葉や言い方がハラスメントになるのか、どうすればトラブルにならない言い方ができるか、具体例を挙げながら考えていきます。
※今回の参考記事:『読売新聞オンライン』2024.5.17 村嵜 要· 一般社団法人日本ハラスメント協会代表理事

ケーススタディ(6)ホワイト・ハラスメント
終業時間になりましたが、部下の仕事がまだ終わってません。先週も同様のことがあり、部下を帰らせて自分が残りを引き継ぎましたので、今日も次のように声をかけました。

「〇〇君、大変そうだね。残りは私がやっておくから、もう帰っていいよ」

●どこがハラスメントに当たるか:残業を強制して「パワハラだ」と言われることを恐れ、優しい対応のつもりで「帰っていい」「私がやっておく」という言動を何度か繰り返すと、パワハラのいくつかの類型のうち『過小な要求』に該当する恐れがあります。すなわち『業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じたり、仕事を与えないパワハラ』になります。

トラブルを回避する言い方:「〇〇君、時間だけどどうする? 残りを私が引き受けることもできるけど」

 ホワイト・ハラスメント(ホワハラ)という言葉が広まったのは、2024年4月からTBS系で放送された、川口春奈さん主演のドラマ「9ボーダー」がきっかけです。劇中では「残業しなくていい」「私がやっておく」といった言葉が、「指導してくれない、ホワハラだ」と部下に受け止められ、「ホワハラだ」と反発するシーンが注目されて社会に広まりました。部下に適切な責任や仕事を与えず、能力以下の業務を割り当てることで部下のモチベーションを下げ、成長の機会を奪うというわけです。基本的に上司に善意があることで生じますが、部下の意思を確認せずに上司が勝手に判断するのではなく、部下とのコミュニケーションをよく取ることが大切です。