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人に好かれる言葉選び

2025年10月

「ハラスメントにならないために:こんな時どう言う?」7

今やすっかりお馴染みとなった「ハラスメント」。職場では、「ちょっと叱ったらパワハラと言われた」とか「髪型や服装を褒めただけでセクハラと言われた」と嘆く管理職の方も少なくありません。また逆に部下が上司に対してハラスメントする「逆ハラ」も存在します。そこで、どういう言葉や言い方がハラスメントになるのか、どうすればトラブルにならない言い方ができるか、具体例を挙げながら考えていきます。
※今回の参考図書:『ハラスメント言いかえ事典』(山藤祐子/朝日新聞出版)

ケーススタディ(7)マタニティ・ハラスメント
既婚の女子社員から、妊娠したので時短勤務にしてほしいという申請がありました。ちょうど繁忙期に入ったところだったので、思わず次のように言いました。

「ええー!? 困るなあ、これから忙しくなるってわかっているだろう」

●どこがハラスメントに当たるか:2017年に改正された『男女雇用機会均等法』では、事業者に対し、妊娠・出産に関するハラスメント(マタニティ・ハラスメント)を防止する措置を講じることが義務付けられています。とりわけ妊娠・出産に対する否定的な言動が問題とされています。妊娠の報告を受けた時、「困るなあ」とか「他の社員に迷惑をかけるだろう」「辞めた方がいいんじゃないか」という発言は、妊娠した女性に対する否定的な発言で問題となります。

トラブルを回避する言い方:「そうか、忙しくなる時なんだけど、なんとかするよ。まずはおめでとう!」
 妊娠・出産・育児をする人が時短勤務になったり会社を休むことで、仕事に支障をきたすことは事実として起こり得ます。特に従業員数の少ない中小企業では人手不足になることなど、業務への影響が大きいため、そのことに対する不満からマタハラをするケースがあります。また「とにかく休まず働くこと」を美徳とする経営者は、妊娠・出産や育児で休むくらいなら会社を辞めるべきという考えがあるかもしれません。
 しかし事業主は、妊娠・出産・育児のため休む従業員がいても業務が回るように事前に配慮しておくべきで、仕事に支障が出るからといってマタハラをすることは許されません。